2016年1月31日日曜日

女性の表情を描くその1

 
今日のテーマは「女性の表情を描く」です。前回の「自宅に絵を飾ろう人物画編」では道具など基礎的なお話をしましたが、今回はもう少し詳しく僕の制作過程を教えましょう。
 さて人物画を描くとき、一番大切なことは何だと思いますか?僕はその人の「表情」だと思っています。表情が気に入って描きはじめられると、最後まで楽しく描き終えられるような気がしています。
 当然モデルさんは自分の好みの顔立ちがいいのですが・・・僕の場合は顔の形は卵型、目は切れ長であごはほっそり、唇は厚すぎず、薄すぎず・・・。
 しかし残念ながらこの日、カルチャーセンターに来たモデルさんは丸顔、あごは角ばって広く、目はパッチリと大きな瞳で唇は薄い・・・。一瞬描く気力が萎えたのですが、そんなことは言っていられません。
 そんな時どうするか。それはモデルさんの素敵な部分を強調し、顔を似せることに注意を払わないことです。このモデルさんの場合大きな目とちょっと笑みを浮かべる唇のラインが魅力的です。それを頭に入れ下書きを鉛筆ではじめます。
 上のスケッチは大体の明暗と形が出来たところ。ここまで4時間弱くらいです。
 いつもならここからすぐ着色にかかるのですが、今回は「表情」を強調したかったので、色調を考えるために、いったん全体にベージュ色を重ねて様子を見ました。
 するとちょっと全体にぼけた感じになっていて人物の存在感が希薄な気がしました。そこで再度鉛筆を重ね暗部を描きこむことによって、肌の白さを強調したのが下の図です。
 ここまで鉛筆でのテクニックいかがですか?着色のテクニックはまた来週。次回も是非読んでください。


2016年1月24日日曜日

書写山 円教寺大講堂

  
 円教寺はJR姫路駅からバスで30分揺られ、終点からロープウェイで山上駅まで登り、先週描いた摩尼堂まではさらに15分ほど山道を歩くという、言わばかなりの秘境の地。
 そこに漂う秘境の気配に惹かれてさらに森の奥深くへ。林立する杉の枝は網の目のように上空を覆い、葉に遮られた陽光はわずかに足下を照らすのみ。そうして修行僧のように薄暗い山道を辿ることおよそ20分。すると・・・
 突然開ける視界。3つのお堂に囲まれた、不思議な空間。実はこの広場、映画「ラストサムライ」、NHK大河ドラマ「黒田官兵衛」のロケ地として使われました。
 歴史、信仰、人と自然。全てが溶け合うような空間に映画監督も創作意欲を刺激されたのではないでしょうか。かく言う僕も創作意欲を刺激された1人です。真夏の暑さも忘れて、一気に描きあげました。皆さんも時間があれば是非スケッチに訪れてみてください。

2016年1月17日日曜日

書写山 円教寺 摩尼堂


 個展のアンケートで気がついたことがもうひとつありました。風景画のほうが人気があったのは前回お知らせしたとおり。でも同じ風景画でも人気の無いジャンルがあります。さてそれはどんな絵だと思いますか?
 答えは建築だけをアップで描いた絵。僕は仕事柄、ディテールのすばらしい近代建築などはつい建物単体を一生懸命描いてしまいますが、普通の人にとってはそれはとても退屈のよう。同じ建物でも、自然の風景に溶け込んだものでないとどうやら「風景画」として認められないようです。
 というわけで今日取り上げるのは「書写山円教寺の摩尼堂」。2年ほど前にスケッチししました。この摩尼堂、いかにも堂々として古く見えますが、調べると昭和になってからの再建で設計は武田五一(辰野金吾の最初の教え子で京都大学建築学科の初代教授)だそうです。
 でも描きたかったのは摩尼堂ではなくそれを背景にした巨木。季節は5月。若葉の黄緑色がとても鮮やか。その美しさには失礼ながら武田先生の作品もかすんでしまうようです。


2016年1月3日日曜日

好きな絵ってどんな絵?

 昨年の10月に個展を開催したことはすでにご報告の通りですが、実は来場の皆さんにご協力をお願いし、アンケートをとりました。展示作品41点にそれぞれ非常に好き、かなり好き、やや好き、普通、あるいは好きでないと好みの度合いを評価してもらいました。
まず上位5作品は以下の通りです。



 次は人気の無かった5作品です。

 

 見事に評価がわかれました。面白いですね。そう、大部分の皆さんは絵の好き嫌いでいうと圧倒的に風景画が好きなのです。
これは世の中一般的なことなのか、僕の技量のせいなのか、個展に来た特殊なお客様のせいなのかはわかりません。
ただ少なくとも、言えることは、僕の絵を家庭に飾ってもらいたかったら、人物画よりも風景画を描けということのようです。今後の活動の参考にしたいと思います。
 なお、このブログの中でのそれぞれの作品の表示回数はこのアンケート結果と矛盾する結果が出ています。人気NO.1の鞍馬山の表示回数はわずか6回、コロッセオは10回、サンタンジェロ城は6回しかありませんでした。もっとも大手門の桜は24回でまあまあ。カレル橋は57回でブログでも人気があり、これはすでに売約済みとなりましたが。
 人物画についてはいずれも一ケタ台の表示回数は無く、総じて人気があるようです。特にハワイの民族衣装を着る婦人は83回、ジーンズの似合う少女は98回も表示されています。
 この奇妙な現象、もし皆さんの中で「これが原因だ」と思い当たる方がいらっしゃったら、是非ご教授いただきたいと思います。ご連絡を!