2010年10月31日日曜日

見越しの松

建築学的に言うと近江八幡で一番に見るべきものは、このブログでも何度か登場した「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている新町通り商家の町並みでしょう。
ただどういうわけか現地の観光案内でもらったガイドマップにはこの新町通りは観光ルートに入っていません。
よく見ると推薦場所には建物の番号があり、どれもレストラン、みやげ物屋ばかり。
スポンサー重視のマップであることがまるわかりで少し残念です。これからここを訪れる方はご注意を。

さてこの町並みで特徴的なのは「見越しの松」。
僕がそれを知ったのは柴田錬三郎「眠狂四郎」で江戸っ子がまくしたてる一文・・・確かおめかけさんを囲った宅としてお江戸の風物詩であったような・・・。
ネットで調べると「見越しの松とは、下枝から二番目の枝を壁の外側にわざわざ出す松を植える様式」とあります。
また、さらに深い意味が込められているようで、「壁に囲まれた屋敷の中では、世の中の動向を見失うことがあります。その事を松に託して、壁の外を歩く人々の動きや流行現象、人々の噂や不平不満など、世の中のさまざまな動向に常に注意をしておくように・・・」という教訓が込められているとか。
なるほど、さすれば僕のおぼろげな記憶もどうやら、それほど間違ってはいなかったようです。

2010年10月24日日曜日

八幡堀の風景

そろそろ夕刻。空模様も怪しげで、一雨来そうな気配です。
せっかく来たのだから、一番有名なお堀の風景を描こうと、観光客が行き交う人ごみの中、狭い橋の上に陣取って急いでペンを走らせました。
でもさすがの僕もここで着色するほど、あつかましくはありません。
帰ってからパソコンで色付けしたのが、この絵です。
商家が堀沿いに建ち並ぶ様は、江戸時代に来たような錯覚を覚えますが、ここはれっきとした現代・・・風土を愛する人達が生活の中で守ってきた風景なのです。

2010年10月17日日曜日

近江八幡の水郷 その2

「西の湖」から「八幡堀」へ。
単調な田園風景もたまにはいいものです。
あぜ道を行くと水路にぶつかり、橋を探して後戻り・・・。
青々と繁る緑の畑があったかと思うと、植え替えた新芽が地面から顔を出している田もあります。
黒い土がむき出しになっているのはこれから肥料でもやるのだろうかなどと素人なりにあれこれ推理をしてしまいます。
さて やっと八幡堀に到着し、そのままロープウェーで山頂へ。
目の前に先ほど見た水郷の風景が広がります。
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見事な「水と緑のパッチワーク」!。

2010年10月10日日曜日

近江八幡の水郷

久しぶりに近江八幡を訪れました。
9月も半ばを過ぎると、厳しかった夏の陽射しも、さすがに遠慮がちで、木陰に入るとさわやかな風が通り過ぎます。

ここはヨシが群生する有名な西の湖。
スケッチを始めるとちょうど橋の下へ水郷めぐりの小船がやってきました。
涼しげな水辺の風景にぴったり・・・と言いたいところですが、木陰のない船上はやはりちょっと暑そう。
秋の風景を満喫するには、もう少し時間が必要なようです。

2010年10月3日日曜日

新港貿易会館

このちょっと風変わりなビルは以前に紹介した神戸税関の南、旧市立生糸検査所(左側の建物)の隣にあります。
設計は「新港相互館」。個人名は無く、会社内の設計部または設計事務所と思われます。

現在も事務所ビルとして使われいるようで、そっと1階を覗いてみましたが、エントランスの重厚なインテリアは最近のオフィスビルのデザイン密度とは比べものになりません。
退屈な様式ディテールの繰り返しでもなく、かといって単調な直線だけの構成でもなく、まさに「奇妙な」オリジナルデザインを生み出しています。

見方によっては「かわいい?」外観に人気があるのか、インターネットでの紹介記事も多いようです。
目の前はすぐ海・・・。港を味わうついでに是非覗いてみてください。