2008年5月31日土曜日

京都四条大橋にて

前回に引き続き京都を歩きます。
三条通りで観た和洋混在の奇妙な京都にちょっとした興奮を覚えつつ、そのまま鴨川に沿って南へ歩いて行くとまたまた面白い風景にぶつかりました。
今度は、四条大橋の交差点です。和風の大屋根が波打つ様と頂部のアーチがかわいい(?)洋館が向き合う姿がいかにも京都らしく、思わずイメージを描きとめました。
言わずと知れた南座と少し有名(建築好きな人には)なレストラン菊水です。文化的にも昔から京都の人々に親しまれてきた建物です。しかも季節は五月。新緑の映える鴨川から見た風景はなるほどとうなずかせるものがあります。
三条通りが異なる文化が一緒に生きてゆく町並みとすれば、この風景は「文化の交差点」と呼ぶのがふさわしいのかもしれません。

2008年5月24日土曜日

京都三条にて

京都三条の町並みは一風変わっています。
このように明治のレンガ造りの建物が残っているかと思えば、隣には京の町屋がぴったりくっついて並んでいます。
建物そのものは、どちらもそれほど趣味が良いというわけではありません。
でも和も洋も区別無く、「歴史の重さを」を競うように並ぶ姿は、存在感たっぷりで、心に残るものがあります。
単なる「観光都市」でない「京都」のもうひとつの顔です。

2008年5月18日日曜日

異人館の町並み

僕のスケッチは、普段の仕事のせいか、どうしても建物の絵が多くなります。
海外なら中世の町並みがそのまま残っていたりするので、題材には苦労しないのでしょうが、日本の場合、残念ながら古い建物はどんどん壊されて、ビルの谷間にぽつんと一軒だけ残っていたりします。
それでも住んでいた人が有名だと観光対象にはなりますが、絵を描こうと思うと、周囲から浮いてしまって、構図になりません。取り残された家はもはや町としてのイメージを伝えてくれないのです。

でも、この神戸の異人館通りは坂道に沿って洋館(ベンの家と英国館)が並んで建っていて、なかなか趣があります。
白い壁、緑色に塗られた窓枠、レンガ、赤い屋根・・・絵の具を塗っているとずいぶん「きれい」な絵になってしまいました。
でもこれこそ「街のイメージ」にちがいありません。

2008年5月11日日曜日

神戸地方裁判所

ぽかぽかと暖かくなってきた休日の午後、この裁判所を訪れました。当然休廷で、正門は閉ざされ、ひっそりとしています。
こんな日のほうがスケッチするにはちょうどよいのです。

この建物の設計者は河合浩蔵。竣工は明治37年です。実は前々回描いた「神戸海岸ビル」もこの人の設計で、あの「辰野金吾」ほど有名ではありませんが、関西に作品が多く、僕は結構気に入っています。
裁判所らしく、全体として重々しい雰囲気ですが、細かな装飾はそれほど無く、シンプルなディテールです。
西洋建築の単なる物真似にしたくないという作者の意思が感じられます。

そういう訳で、このスケッチを完成させたのですが、どうもしっくりきません。なにかバランスが悪いと言うのか、足りないような気がします。数年前の改修工事で建物の最上部はミラーガラスのオフィスビルとなり、今度の設計者の意図を尊重して、この絵では上部は空のような表現にしましたが、それがやはり不自然のようです。
そう思って昔の写真を調べました。すると入口と両翼の端には格好の良い大屋根がかかっており、中間部にもいくつもの破風がリズミカルについています。どうやら改修時にそれらの邪魔者は撤去されてしまったようです。
「すべて壊すよりはまし」という判断なのでしょう。でも僕のような第三者が見てもおかしいのですから、河合浩蔵さんはきっと憤慨しているにちがいありません。
えっ、「お前ならどうするって?」・・・そんな意地悪な質問をしないように!

2008年5月4日日曜日

5月の空

神戸は北に六甲山がそびえ、南に瀬戸内海が広がります。
したがって阪神間には山から海へ流れる、昔から人々に愛されているいく筋もの小川があります。

僕の好きな散歩コースは以前にも述べた石屋川。他にも芦屋川、住吉川などいずれも、その川ならではの魅力があります。
この絵はそんな川のひとつ、夙川です。川沿いの桜が有名で1ヶ月前までは、花見でにぎわっていましたが、今はもうそんな喧騒はなく、散策する人がちらほらといるだけです。

桜の頃は花びらに見とれているばかり・・・・でも、いつの間にか初夏になり、気がつけば、若葉の中、青い空に鯉のぼりが泳いでいます。
5月は「空」が主役の季節です。