2008年3月30日日曜日

神戸文学館

この建物は関西学院のチャペルとして建てられたそうですが、(明治37年竣工)現在は神戸市立の文学館として無料で開放されています。

先日、念願かなってやっと内部を見ることができました。観光客でいっぱいかと思っていたのですが、意外なことに来館者は僕ひとり。おかげで、礼拝堂らしい、天井の高い、落ち着いた空間をじっくり味わうことができました。
気がつくともう午後4時。あわててスケッチをしたのがこの絵です。
西陽を受けたレンガは、学生達の青春のシンボルとしての歴史があるからでしょうか、存在感たっぷりです。

2008年3月23日日曜日

大阪城の梅林

大阪城は豊臣秀吉の城として、とても有名な城ですが、建物は昭和になってからのコンクリートによる再建で、残念ながら文化的な価値はあまりありません。僕自身も混み合う観光客の中で、敢えて絵を描きたいと思うほどの魅力も感じていませんでした。

ただし、今日は3月15日。この時期の大阪城は別格のようです。
見事に手入れされた一面の梅林。紅色やピンクの花びらはまるで雲海のよう。その上に浮かぶ天守閣には雄大さよりも優しさを感じます。そして穏やかな陽射しと少しひんやりとした風に乗ってはこばれる梅の香り。
まもなく春・・・訪れた人、誰もが感じたに違いありません。

2008年3月16日日曜日

京都文化博物館 その2

昨年冬ここを訪れた時は寒さに負け、建物の外観を描けませんでした。この日は3月1日。再チャレンジです。
まだまだ空気は肌を刺す冷たさで、途中で何度もくじけそうになりましたが、なんとか完成です。
前回、明治の人のバイタリティに感激したことを書きました。
実は、この建物にも、そんな情熱が潜んでいます。兵庫県公館の少し前、明治39年に完成していますが、こちらの設計者は辰野金吾。やはりとても有名な人で、今の東大建築学科の弟1回卒業生にして、やがて教授となり日本人の弟子達を育てた人です。いわば日本の建築界の始祖とも言える、超エリートです。すごい人ですね。
レンガと石の組み合わせによるストライプが思ったよりも軽快で、銅板屋根の緑色が良く似合います。
「俺は明治の文化を創っているんだ・・・」そんな気概を感じます。

2008年3月9日日曜日

兵庫県公館



この建物は神戸元町(もとまち)駅から歩いてすぐのところにあります。
観光ガイドブックにも必ず載っている堂々とした明治時代の建築です。


設計者は山口半六というこの業界ではとても有名な人です。なにしろ江戸時代までは木造しか知らなかった日本人がいきなり洋風石造建築を作ろうとしたのです。彼は単身フランスで建築を勉強し、この兵庫県公館を明治34年44歳の時に創り上げました。


今のように、インターネットで情報を得ることもCADによる作図もできなかった時代です。たった一人でゼロからここまでたどり着いたのです。


・・・・明治の人々のバイタリティーに感激です。

2008年3月2日日曜日

バブルの頃

1989年。バブルの最盛期でした。
東京に出張し、泊まったホテルです。

ホテルに興味のある方は僕の書き込みをよく見てください。
バスルームの充実ぶりとデスク周りの高機能化が特徴です。
洗面台のトレイには、リキッド、トニック、ローション、リンス、レザー、ソープ、歯ブラシなどが美しくセットされ、ユニットバスなのに、木目をふんだんに使っています。家具にも凝った仕掛けが いっぱい・・・。
もちろん豪華なホテルはどこにでもあるのですが、普通のビジネスマンでも、こんなホテルに普通に泊まれた時代でした。
最近はホテルも二極化されているそうです。一泊10万円以上の部屋はいつも外国人で満室なのに、日本人は「芸術的に」縮小されたウサギ小屋客室に泊まるか、満員の新幹線で日帰りするのです。

かくして、そういう僕も「出張先でホテルの部屋を描く」などという贅沢な時間は許されなくなってしまいました。
僕のスケッチブックからホテルの絵が消えた理由はここにあったようです。