2017年4月16日日曜日

チャイナドレスの人物を描く その4



 チャイナドレス編いよいよ最終回です。前回はチャイナドレスの華やかさを出すための、全体の色付けの方針を確認しました。今日の狙いは全体に色を濃くして、絵の存在感を高めることです。
 まず背景。遠景の森は薄いブルーで軽く塗っただけでしたが、緑を濃くします。ただしヴィリジアンのような鮮やかな緑を塗ると人物よりも目立ってしまいます。今回はサップグリーンを中心に、川の反射光を受けるので少し紫色を混ぜておきます。
 次に川。反射する波がポイントなので、例によってマスキングインクで明るい部分をマスクしておきます。水面に森やお堂の暗い映り込みを描きこんだ後、インクをとって明るい部分に波を描きこみます。
 同様に手前の草もあまり克明には描きません。。細筆でぼかし気味に草の流れを描き込みます。アクセントに花がほしいのでやはりマスキングインクを使い、最後に花の色をのせます。
 そして足元の材料。実際にはアトリエの床はビニルシートでしたが、それでは雰囲気が台無しなので今回は石畳に変更します。石の材質感がでるまで何度も重ね塗りしましょう。
 さてこうやって背景を描きこんでいくと、前回一通り塗ったチャイナドレスの赤が薄く感じられてきます。そこで全体のバランスを見ながらもう一度バーミリオンを重ねます。服の明暗を損なわないように注意深く塗ってください。最後に人物の明暗をチェックしてあごの下、胸の下、服の皺、ドレスのスリット部分など一番濃い部分にもう一度影を入れて完成です。
 この絵のタイトルは中国らしく「山紫水明」としました。再来週からの僕の個展に出品します。もっと詳しく絵について語りたいという方、是非個展にご来場ください。お待ちしております。

追伸 個展情報を再掲します

加藤美稲水彩画展
日時 2017年4/27(木)~5/2(火) 11:00~19:0
場所 茶屋町画廊 chayamachi.com/gallery-guide/map.html

2017年3月23日木曜日

チャイナドレスの人物を描く その3


 さて着彩です。今回のメインテーマであるチャイナドレスの色は鮮やかな赤。大切なことはいかにその艶やかさを表現するかということです。こういう時油絵は比較的容易です。一番上の層に明るい赤を塗ればそれで事足りるのですから。(油絵は簡単と言ってるわけではありませんよ。念のため。)
 でも(透明)水彩ではそうはいきません。どんなに上から派手な色を塗っても下の色より華やかになることはないし、一度暗くした部分はその上にどんな明るい色を塗ってもそれより明るくなることはありません。特に今回は全体的に鉛筆で明暗を施しているため、下地そのものが白くはありません。
 それではこのチャイナドレスをより鮮やかに、明るく見せるためにはどうしたらいいのでしょう?答えは「比較の効果」を使うこと。たとえば同じ色でも隣合う色が地味で、暗い色であればあればその色はより鮮やかに明るく見えるし、赤と緑のように補色の関係になっていればお互いを引き立ててくれます。
 ではさっそく試してみましょう。先に書いたように、陰の部分を一度濃くしすぎるとその周辺はそれより暗くすることしか出来ず全体が明暗の階調の少ない貧相な絵になってしまいます。失敗しないこつは最初は水を多めに色は薄くざっくりと調子を確認しながら塗ることです。
 具体的に説明しましょう。まず背景を全体的にドレスよりも暗くし、色味は赤の補色であるグリーン寄りに、かつ彩度を抑えたグレーで全体を統一します。足元の床材も、植栽も、川も森も生の絵の具は使いません。どこも赤、緑、青の絵の具を適度に混ぜて彩度と明度を落としています(色が濁るので黒と白の絵の具は使いません)。更に背景全体の色相は赤と補色の関係にあるグリーンを強くします。そして生のバーミリオンを使うのはチャイナドレスの一点だけに絞ります。こうすることによって透明水彩の薄い赤でも艶やかな赤に見えるのです。いかがですか?
今回で全体の色調は確認できました。ただちょっとまだ全体的に色味が薄く、存在感が希薄です。次回はフィニッシュまでのプロセスをお見せします。お楽しみに。


2017年3月12日日曜日

チャイナドレスの人物を描く その2


 前回アトリエで作成した鉛筆のデッサンを見ていただきました。いつもならすぐに水彩で着色をするのですが、今回はせっかくのチャイナドレス。この際背景も思いっきりチャイナらしく・・・とインターネットで(著作権の問題にならぬ範囲で)題材を探し、アレンジして、画面を再構成したのが今日の作品です。
 注意しなくてはいけないのは、目線レベルを合わせること。つまり僕が絵を描いている時の水平線と背景の画像の水平線がほぼ同じ位置に来るようにすることです。ただし実際に探してみると良くわかるのですが、今日の絵のように水平線が画面の上方ぎりぎりに設定してある構図の背景画像は少ないと思います。そのあたりは組み合わせのテクニックが必要です。皆さんも研究してみてください。
 ついでに人物も前回と比べるとちょっと修正しているのがわかりますか。ひとつは足先が画面からはみ出していたので、ちょっとつま先を曲げてもらい、画面に収まるようにしました。もうひとつはきりりとした顔の表情。前回はわざとぼかし気味に描いていたのですが、バックをここまで描きこむと、表情もはっきりと描かないとバランスが取れなくなったからです。
 これでやっと下書き完成です。次回はいよいよ着色です。

2017年2月27日月曜日

チャイナドレスの人物を描く


 このブログに登場するモデルさんはいずれもモデルクラブに所属するプロの人達です。でも実はモデル代は衣装によって違うのです。お任せの普段着は安く、民族衣装は高いという具合に。(当然ヌードは一番高いのですが)。そして数ある民族衣装の中でも人気が高いのがチャイナドレスだとか。当然プロの画家達も好んで描いています。有名な絵はやはり安井曾太郎の「金蓉」でしょうか。
  というわけで今回はチャイナドレスの人物に挑戦です。この日、2時間の枠(モデルさんの休憩時間を除くと実質は80分)の中で、如何にチャイナドレスならではの女性らしい体の線を忠実に捉えるかが勝負です。手にするのは鉛筆と練りゴムだけ。
  まずHBの鉛筆で大まかにデッサンをします。線ではなく面を表現します。いくつもの曲面を薄い鉛筆の線で塗りつぶす感じで描いて行きます。濃い部分はより濃い鉛筆を使うか線の本数を増やします。そして明るいところを練りゴムで削ぎ落とす。基本的には80分間この作業の繰り返し。さらに全体から細部へ、細かく細かく・・・。最後に一番暗い部分に4Bの鉛筆で影を入れます。そして完成!。終了のタイマーが鳴り、あっという間に80分が過ぎました。集中し過ぎたせいか頭はぼーっとし、眼はかすんで・・・でも出来映えはまあまあ。
 次はチャイナドレスの人物、その魅力を引き出す工夫を・・・と言いたいところですが、とても 疲れたので本日はここまで。この続きはまた次回に。