2018年2月24日土曜日

台湾 三峡老街

このブログで取り上げた「迪化老街」「西螺老街」など、何気なく目にしていた台湾各地にある「老街」という言葉。GOOGLEで調べてみると「清朝あるいは日本統治時代に造られた街並みのこと」と記されていました。特に商業施設の街路に面した一階部分をアーケード状に統一するデザインは当時の日本の台湾総督府が定めた様式だそうで、実は日本と関係が深い単語だったのです。
台湾各地にある老街のうちいくつかは日本の「重要伝統的建造物郡保存地区」に似た制度指定を受けて地域の振興に取り組んでいるようです。前回取り上げた「西螺街」は残念ながら建築デザインの保存にはあまり熱心ではなかったようですが、ここ「三峡老街」はほぼ完璧に日本統治時代の姿が保存されています。
煉瓦と石で統一された外壁、窓まわりのアイアンワーク、なにより連続する華麗な棟飾りは見事で、これならば「中華バロック」と呼んでもおかしくありません。もちろん老街の形式にこだわり、街路に面した1階はアーケード形式になっています。
この日はちょうどコマーシャルフィルムの撮影中。華麗なバロック(?)衣装をまとった台湾美女がこの「老街」に寄り添う姿がとても印象的でした。

2018年2月19日月曜日

台湾 西螺(シーレイ)老街

台中を訪れました。ここで見るべき建築NO.1は・・・やはり伊東豊雄さんの「台中メト
ロポリタンオペラハウス」でしょう。どこまでが床でどこからが壁なのかわからない床面積算定不能といわれるのもうなずけます。あえて写真は掲載しません。建築好きの方あの不思議な空間をぜひご自分で体験してください。オペラの演目がない日でも内部は見学できますよ。
 さてこの奇妙な建物をさっそくスケッチ・・・と言いたいところですがごめんなさい、やっぱり現代建築は描く気にならずパス・・・。という訳で今日のスケッチは、台中から南へ、電車とバスで1時間ほど行った商業の町、西螺からです。
 ご覧のように奇妙な建物が並んでいます。1階部分がアーケードになっていて台北の「迪化街(てきかがい)」とよく似たつくりをしています。大半は2階建ての建物なのですが、この一画だけ3階建てで、意匠もちょっと凝ったつくりをしています。左の建築は時計塔付き。この町のシンボルだったのでしょう。3階のバルコニーにある複数のアーチはオリジナルデザインでしょうか。他では見かけない面白い形をしています。ガイドブックによれば「日本統治時代に建てられたバロック建築が残されている」とありますが、残念ながら保存状態はきわめて悪く「どこが?」と言いたくなります。おそらく建築当時は石と煉瓦の外壁だったのでしょうが、今はその上に防水のための塗料を吹き付けているようで、バロック的な歴史的風格はまったく感じられません。ペンキ塗りの看板建築と言ったら叱られるでしょうか。それでもどうやら保存活動が行われているようですが、遅きに過ぎた感が否めません。
 でも商業の町としては今でも有名のようです。友人に頼まれた人気の店でいかにも歴史ありそうな醤油を買い求めました。店内には僕のほかにも醬油を求める観光客がちらほら。この町の復活を期待したいものです。
 

2018年1月31日水曜日

台湾 林本源園邸

   旅の達人に「台湾の魅力は?」と聞くとたいてい「安くておいしい食べ物」「あたたかい気候と南国の自然」「日本人に親切な人柄」という答えが返ってきます。でも僕のように建築をスケッチしたくて訪れるものには台湾(特に台北)はかなり近代的な町で一見すると異国情緒に欠け、ちょっと不満が残ります。
特に違和感があるのがいわゆる「古民家」らしきものがほとんど残っていないことです。理由は良くわかりませんが、どうも日本軍が第二次大戦後引き上げた直後の共産党と国民党の内乱による町の混乱が文化的な資産の喪失に繋がったような気がします。
それでもガイドブックで調べると台湾5大富豪の邸宅跡だという「林本源園邸」がどうも古民家に近いものと知って出かけました。中国の富豪の生活を垣間見ることができると期待したのですが、残念ながら大半が保存改修中。体験できるのは庭園とそれに隣接する一部の建物のみ、母屋とそれに付帯する建物は見ることさえできませんでした。確かに池を生かした江南式庭園は見応えがありますが、個人的には山や川の造形がわざとらしく感じられ、スケッチする気になれませんでした。でもせっかく訪れたのだからと、さんざん歩き回って一番「邸宅」らしさを感じたのがこのスケッチです。
石と漆喰の塀、奇妙な形ののぞき窓、レンガを積んだ門の3点セットはとても中国的です。以前にこのブログに載せた角館(かくのだて)の武家屋敷にある黒い板塀、丹精な格子窓、銅版屋根と冠木門の3点セットと比較してみればその違いは一目瞭然です。文化の違いはこんなささやかな道のたたずまいにも現れるのですね

2018年1月18日木曜日

シンガポール 天福宮

  
このブログのテーマは「人と建物」を描いて人生を考える(楽しむ)こと。その意味では各国の寺院建築にはそれぞれ独自のデザインに民族の精神性が表現されていてスケッチするのにうってつけです。今日はそんな寺院建築にまつわる雑感です。
  前回台北の龍山寺を描きました。派手な色彩と重なり合う屋根の絶妙なバランス、その上で踊る龍の彫刻達に感動したのですが、ここシンガポールでもそっくりな建物を発見しました。天福宮(シアン・ホッケン寺院)です。シンガポールの公用語は英語。
  物価も一人当たりのGDPも日本より高く、いわゆる高所得者層が多く住む国際都市です。距離的な隔たりはもちろん、お国柄もずいぶん違うのに「なぜこんなに似ているの?」と思うのは僕だけではないでしょう。
  ちょっとだけ調べました。中国の宗教は歴史の授業で習ったように、仏教、道教、儒教が基本。少なくとも今回描いた両方の寺とも「道教寺院」でした。しかし道教寺院だけがこのような色彩、屋根構成、龍の彫刻をもっぱら採用しているかというと、どうもそうでもないらしい。儒教寺院である孔子廟にも、仏教寺院でも似たようなデザインは存在するようです。
  ただ、中国本土では第二次大戦後共産党が支配権を握ったとき多くの伝統的な寺院(道教だけではありませんが)と宗教に対する国民の価値観が壊され、今ではむしろ東南アジアの中華系の人々によって道教とその寺院が伝えられたということかもしれません。
宗教にかかわる問題に素人の意見を必要以上に述べるのは控えますが、こんなことを推理したくなったのはこの手で建物をスケッチしたおかげです。皆さんも他の国の寺院に行ったときはお参りと記念写真のほかにぜひ自分でスケッチを一枚描いてください。ちょっと人生を余分に楽しめますよ。